コラム
豊かな未来のための〝料理〟というポジションを再考してみましょう
AI(人工知能)が身近になり、未来の街たるものも現実味を帯びてきていますが、〝食〟に触れた部分を覗いてみると、ロボットの手を借り、料理をまるで工場の車作りのごとく行っている姿を目の当たりにし、がっくりときました。
料理までもすべてAIに支配される世界になっているではないかと、とても心配になります。豊かな未来のための〝料理〟という本来のポジションは?「何のために料理を作るのか、そして何のために食べるのか」を改めて問われているように感じます。
本来、食事は健康な心身を作る源、生きる豊かさを生むものであると思います。料理を作る喜び、食事をいただく感謝の心、共有できる美味しさと喜び、人生そのものを大切に育みながら体を作り、いたわり、フォローする役割が食事そのものだと思います。
熱が出たら栄養のあるもの、胃腸が弱っている時は消化の良いもの、受験の時には眠くなりにくい料理など…それぞれの体調に合わせた料理を作ることは人間にしかできません。
好き嫌いがあるけど大丈夫かな? どういう風にすると食べてくれるかな?など、作り手の気持ちも大切です。
いろんな悩みを抱きながらの毎日ですが、負けないで前を向ける、頭や心を和ませてくれるものの一つに料理の力があると思います。
バランスの良い食事とは
体の内部が見えないからこそ、バランスの取れた料理で、体の隅々まで栄養を届け、臓器にも仕事をしっかりと果たしてもらえるよう、食べる内容は大事にしてほしいのです。
若いうちは細胞が元気で多少の無理も聞いてくれますが、年を重ねるにつれて体のいたるところで故障もどんどん起きてきます。できるだけ早いうちからしっかりと自分を見つめ、体と向き合い、叱咤激励をしながら毎日磨き続けなければなりません。楽をすればしっぺ返しは必ずやってきます。最新の健康情報も取り入れながら、自分の体をしっかり守りましょう。
今回は食事のバランスの取り方をご紹介します。栄養バランスが良いと各栄養素の体内効率はとても良くなります。一つに特化した栄養をたくさん摂っても吸収されないことが多々あります。逆に、あれとこれを組み合わせることで栄養アップ!ということができるのも食事の醍醐味です。バランスの取れた食事は、ベースをしっかり守ることが大事です。大切なルールを理解していただけたら、強い体を作れると思います。
いつもお元気ではつらつとされている浜内先生。その元気の秘訣を聞いちゃいました
【秘訣1】朝起きた時に、自分が元気かどうかチェックする。
【秘訣2】夕食前に一日に摂った栄養を確認して、足りないものは夕食でカバーする。
【秘訣3】人と比べず、物事を前向きに考えてオープンにする。
特製レシピをご紹介
ちょっとひと手間で、シンプルに素材の味が引き立ちます。
シンプルな煮込み
材料(2人前)
豚こま切れ肉 | …200g |
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キャベツ | …300g |
塩 | …小さじ1弱 |
水 | …1カップ |
黒こしょう | …少々 |
作り方
- 熱湯を沸かし、火を止めたところに豚肉を入れ色が変わるまで熱湯洗いし、ざるにとる。
キャベツは大ぶりにちぎる。
【ポイント】
・お肉の脂身(脂質)はできるだけ取り去りましょう。若い頃に比べ、歳を重ねて代謝が悪くなっています。
血管を詰まらせる、生活習慣病の原因になるなど脂質の取りすぎはNG。少しでも減らせるように工夫しましょう。
・熱湯洗いは100℃より少し低い温度でさっと急ぎでガラガラ洗います。豚肉は、約35℃以上で脂が溶け、たんぱく質は70℃で固まります。 - 鍋に豚肉、キャベツを入れ塩を振って水を入れ、
フタをし中火にかける。
【ポイント】
・水の量を少なめにするとうまみが上がります。
・50~60℃で食材のうまみがたっぷり出てきます。沸騰したままの熱湯でしゃぶしゃぶするのは、肉のたんぱく質が固まりすぎて食感も硬くなります。脂、臭みが抜けて食べやすく、うま味を逃がさず身に閉じ込めるので美味しさがグレードアップ! - 沸騰後、弱火にして7~8分煮る。
- 一度混ぜてまたフタをして2分煮る。
- 盛り付けて、黒こしょうを振る。
【ポイント】
・残ったら水を加え、スープにしてもOK!
食材の栄養素ポイント
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キャベツ
キャベツは、ビタミンCが豊富に含まれています。風邪の予防や疲労の回復、肌荒れ、抗酸化作用に効果あり。
使用する時外葉はさっと洗って、内葉は洗わなくてもOK! -
豚肉
豚肉は、良質なたんぱく質として育毛や美肌の素に。
豚肉の脂肪に含まれる不飽和脂肪酸は、血液をサラサラにしたり、悪玉コレステロールの減少や、動脈硬化予防、心疾患予防、便秘解消などに効果が期待できます。