「梅雨になると頭皮がにおう・かゆい……」その悩み、放置していませんか?

「梅雨になると頭皮がにおう・かゆい……」その悩み、放置していませんか?

目次

なぜ起こる?頭皮に住む「常在菌」の正体とは?
① アクネ菌(Cutibacterium acnes)
② 表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)
③ マラセチア菌(Malassezia)
④ 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
なぜ梅雨の時期になると、菌のバランスが急激に崩れやすくなるの?
① 高温多湿が「マラセチア菌」の爆発的な増殖を招く
② 気温の上昇で「菌のエサ」が大量に分泌される
③ 菌が皮脂を分解し、大人のニオイ成分「ジアセチル」を発生させる
「除菌シャンプーで菌を全滅させる」というケアは、どうして間違っているの?
梅雨の菌バランスを黄金比に整える、4つの具体的アクションとは?
① 「1日1回」を基本に、洗いすぎず丁寧に洗う
② すすぎの時間は「シャンプーの2倍」を意識する
③ タオルドライ後、ドライヤーで「根元から完全に」乾かす
④ 内側からのケアとして「腸内環境」を意識する
まとめ:菌を味方につければ、梅雨の頭皮はもっと快適になる!
よくある質問(FAQ)
Q. 常在菌のバランスが崩れているかどうか、自分でわかりますか?
Q. 梅雨の時期だけ特別なシャンプーを使うべきですか?
Q. 頭皮の常在菌バランスは、食事でも影響を受けますか?
参考文献
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「梅雨になると、なんとなく頭皮の調子が悪い気がする」

においが気になる、かゆくなる、フケが増える……。こうした悩みを毎年繰り返しているとしたら、それは「季節のせいだから仕方ない」ではなく、頭皮に住む菌のバランスが崩れているサインかもしれません。

実は、頭皮のトラブルと菌の関係は、近年の研究で少しずつ明らかになってきています。そして重要なのは、「菌をなくすこと」ではなく、「菌のバランスを整えること」です。

なぜ起こる?頭皮に住む「常在菌」の正体とは?

「頭皮に菌がいるなんて、なんだか怖い……」 そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私たちの頭皮には、健康な状態であっても無数の菌が24時間体制で暮らしています。これらを「常在菌(じょうざいきん)」と呼びます。
頭皮の常在菌は、大きく分けて以下の3つのグループに分類され、お互いにバランスを取り合っています。

  1. 善玉的な菌: 頭皮環境を健やかに整え、外部の恐ろしい病原菌から守るはたらきをする
  2. 悪玉的な菌: 普段はおとなしいが、増えすぎると炎症やにおい、フケの原因になる
  3. 日和見菌: どちらにも属さず、全体のバランスが崩れると悪玉のようにふるまう

問題が起きるのは、特定の菌がいなくなったときではなく、この3つのバランスが崩れたときなのです。

菌バランスのイメージ
 
 
頭皮の常在菌:代表的な4種類

① アクネ菌(Cutibacterium acnes)

「アクネ菌」という名前から、なんとなく悪い菌のイメージを持たれがちですが、健康な頭皮では善玉的な役割を果たしています。

この菌は皮脂を分解する過程で短鎖脂肪酸を生成し、頭皮を弱酸性に保つはたらきをしています。頭皮が弱酸性であることは、病原菌が増殖しにくい環境を意味します。また、黄色ブドウ球菌など病原性の高い菌の増殖を抑える物質(バクテリオシン)を産生することも確認されています。

研究では、健康な頭皮にはフケのある頭皮に比べてアクネ菌が有意に多いことが報告されています(Saxena et al., 2018)

② 表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)

お肌のバリア機能を修復し、病原菌の増殖を抑えてくれる心強い味方です。しかし、周囲の菌のコミュニティが乱れると、過剰に増殖してフケや脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)を悪化させる一因になるという、日和見的な二面性を持っています(Frontiers in Immunology, 2025)。

③ マラセチア菌(Malassezia)

誰の頭皮にもいるカビ(真菌)の仲間です。普段はおとなしいですが、大好物である「皮脂」が増えると急激に繁殖します。増えすぎたマラセチア菌が皮脂を過剰に分解すると、遊離脂肪酸という刺激物質が生まれ、これが頭皮のバリアを破壊してかゆみやフケの引き金になります(Xu et al., 2016)。

④ 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)

健康な頭皮にはほとんど存在しない悪玉的な菌の代表です。皮膚がアルカリ性に傾いたり、菌バランスが崩れたりすると増殖しやすくなり、炎症や化膿の原因となります。
裏を返せば、①のアクネ菌や②の表皮ブドウ球菌が正常に機能しているうちは、この菌の増殖は抑えられています。善玉的な常在菌を守ることが、黄色ブドウ球菌による頭皮トラブルの予防にも直結するのです。

なぜ梅雨の時期になると、菌のバランスが急激に崩れやすくなるの?

「春先までは平気だったのに、どうして梅雨になると急にトラブルが起きるの?」と疑問に感じますよね。 受け入れがたいですが、梅雨の気候は「菌のバランスを崩す3大悪条件」が完璧に揃ってしまう季節なのです。

① 高温多湿が「マラセチア菌」の爆発的な増殖を招く

カビの仲間であるマラセチア菌は、ジメジメとした高い湿度を何よりも好みます。梅雨特有の蒸し暑い環境は、この菌にとって天国のような場所。一気に増殖した菌が、頭皮にかゆみや炎症のダメージを与えてしまいます。

② 気温の上昇で「菌のエサ」が大量に分泌される

梅雨から夏にかけては、体温調節のために汗や皮脂の分泌量が急増します。この増えた皮脂がすべてマラセチア菌の「エサ」になってしまうのです。
「毎日シャンプーしているから大丈夫」と思いたくなりますが、皮脂はある一定時間が経つと、洗う前の量にしっかりと戻ってしまいます。特に梅雨時期はその回復スピードが早いため、頭皮が常に菌の温床になりやすいのです。

③ 菌が皮脂を分解し、大人のニオイ成分「ジアセチル」を発生させる

「夕方になると、なんだか頭の後ろから古い油のようなニオイがする……」 そんな経験はありませんか?
頭皮のにおいは、菌が皮脂や汗を分解する過程で生じます。2014年の日本の研究(Hara, Matsui & Shimizu, PLOS ONE)では、頭部のにおいの主要成分としてジアセチルという物質が特定されており、これは皮膚常在菌の代謝によって生み出されるものです。
梅雨の時期は菌の活動が活発になるため、この物質の産生も増えやすくなります。

「除菌シャンプーで菌を全滅させる」というケアは、どうして間違っているの?

頭皮のニオイやかゆみが気になると、「殺菌成分配合のシャンプーで、頭皮の菌を根こそぎ洗い流したい!」と思いたくなりますよね。

それだけで安心したくなりますが……実はこれ、最もやってはいけないNGケアなのです。

強い抗菌成分や殺菌成分で頭皮を一掃しようとすると、トラブルを起こしている原因菌だけでなく、頭皮を弱酸性に守ってくれている「アクネ菌」などの善玉菌まで一緒に全滅してしまいます。

守り手を失った頭皮はバリア機能がゼロになり、外部からの病原菌に無防備にさらされ、結果として以前よりもひどいかゆみや、激しいフケを伴う肌荒れを引き起こすという最悪の負のループに陥ってしまいます。

近年の皮膚科学研究(Saxena et al., 2018)でも、健康な頭皮とトラブルを抱えた頭皮の決定的な違いは「菌の有無」ではなく、あくまで「菌の構成バランス」にあることが証明されています。

つまり、私たちが目指すべきなのは菌を排除することではなく、「善玉菌が心地よく暮らせる、穏やかな土壌(頭皮環境)を整えてあげること」なのです。ここを間違えなければ、頭皮の不快感は必ずクリアにできますよ。

梅雨の菌バランスを黄金比に整える、4つの具体的アクションとは?

それでは、今日から実践できる、菌バランスを優しく整えるための4つの本質的なアプローチをご紹介します。

① 「1日1回」を基本に、洗いすぎず丁寧に洗う

皮脂が気になるからといって、1日に何度もシャンプーをしたり、ゴシゴシと力を入れて洗うのは厳禁です。善玉菌が流出してしまい、頭皮が乾燥して逆に過剰な皮脂を分泌する原因になります。

洗髪は1日1回。シャンプーを手に取る前に、39℃前後のぬるま湯で1分以上「予洗い」をしましょう。これだけで頭皮の汚れの7割は落ちると言われており、シャンプーの泡立ちが格段に良くなります。洗うときは、指の腹で頭皮全体を優しく包み込むように揉み洗うのがコツです。

② すすぎの時間は「シャンプーの2倍」を意識する

シャンプーの成分が頭皮に残っていると、それが菌の異常なエサとなり、炎症を悪化させます。「洗う時間の2倍」を目安に、しっかりとすすぎ流してください。

特に以下の5つのエリアは、皮脂が溜まりやすく、最もすすぎ残しが発生しやすい「危険ゾーン」です。意識的にシャンプーのシャワーヘッドを近づけて流しましょう。

  • 生え際
  • 髪の分け目
  • つむじ
  • 襟足(えりあし)
  • 耳の後ろ・上

シャンプーのシャワーヘッド
 

③ タオルドライ後、ドライヤーで「根元から完全に」乾かす

「暑いから」「髪が痛むから」と、お風呂上がりに髪を自然乾燥させていませんか? 水分が残ったままの頭皮は、まさに「雨の日の部屋干しタオル」と同じ状態です。湿気と体温がこもることで、マラセチア菌などのカビが大爆発を起こし、強烈なニオイやかゆみを発生させます。
洗髪後は速やかにタオルで頭皮の水分を優しく吸い取り、ドライヤーの風を髪の根元に送り込んで、頭皮を「完全に」乾かしきりましょう。これだけで、翌朝のニオイが劇的に軽減されます。

④ 内側からのケアとして「腸内環境」を意識する

実は、私たちの「腸内環境」と「皮膚の菌バランス」は密接に繋がっていることが分かっています。梅雨時期は食欲が落ちて冷たいものばかり食べがちですが、発酵食品(納豆やヨーグルト)や食物繊維を意識して摂り、お腹の調子を整えることが、結果として健やかな頭皮の菌バランスを育てるサポートにつながります。

まとめ:菌を味方につければ、梅雨の頭皮はもっと快適になる!

30代、40代、50代と年齢を重ねるごとに、私たちの肌のバリア機能はデリケートになっていきます。だからこそ、梅雨の季節に「なんとなく頭皮の調子が悪いな」と感じたら、それは身体からの優しいサイン。

高温多湿の環境が菌のバランスを崩しやすいこの時期、大切なのは菌を「悪者」と見なして除去しようとすることではありません。善玉的な常在菌が生きやすい頭皮環境を整えることが、においやフケ、かゆみのない健やかな頭皮への近道です。

頭皮の菌のことをちょっと気にかけてみる。それだけで、梅雨時期の頭皮のトラブルが変わっていくかもしれません。

梅雨の季節

よくある質問(FAQ)

Q. 常在菌のバランスが崩れているかどうか、自分でわかりますか?

A. 明確な自己診断は難しいですが、「においが気になる」「かゆみが続く」「フケが増えた」など複数のサインが同時に出てきたときは、菌バランスの崩れが背景にある可能性があります。ケアを見直しても改善しない場合は、皮膚科への相談をおすすめします。

Q. 梅雨の時期だけ特別なシャンプーを使うべきですか?

A. まずは洗い方・乾かし方の改善を優先することをおすすめします。すすぎの丁寧さとドライヤーの徹底を見直すだけでも、トラブルが落ち着くケースが多くあります。

Q. 頭皮の常在菌バランスは、食事でも影響を受けますか?

A. 腸内環境と皮膚環境はつながっているとされており、腸内の菌バランスが崩れると皮膚トラブルにも影響が出ることが示唆されています。梅雨の時期は食欲が落ちやすく、食生活が乱れがちです。バランスのよい食事を心がけることも、頭皮環境を整えるうえで大切な要素のひとつです。

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参考文献

  • Saxena et al. (2018) — 健康な頭皮とフケ頭皮の菌叢比較 Frontiers in Cellular and Infection Microbiology
  • Xu et al. (2016) — フケと常在菌の相互作用 Scientific Reports
  • Hara, Matsui & Shimizu (2014) — 頭部におい成分ジアセチルの生成メカニズム PLOS ONE
  • Dreno et al. (2018) — Cutibacterium acnes と頭皮・皮膚の関係 Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology
  • Lam et al. (2018) — 頭皮のにおいと微生物の関係 Microbiome
  • Corvec et al. / Frontiers in Immunology (2025) — 表皮ブドウ球菌の皮膚保護における役割 Frontiers in Immunology


古谷 聖子

古谷 聖子

マイナチュレ頭皮ケア研究所 研究員
毛髪診断士®︎

20代から、自分の髪が、人よりも念入りなお手入れを必要としていることに気づく。頭皮や髪が健康になっていける方法を模索中。今のお手入れは未来のため。1日10秒でも、できることから少しずつ。頭皮ケアが当たり前の世界をつくるべく活動します。


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